法律基本科目

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■法律基本科目
授業科目名 講義等の内容
公法入門 法学未修者を対象に、憲法を中心とする事例問題を演習形式で検討する授業を行うことにより、公法分野の専門学習への橋渡しを行う。すなわち、憲法の基本原理や基本概念が、具体的事例を法的に解決するためにどのように用いられているかを確認することを通じて、事案の分析と法的論理の展開のための思考能力の基礎を涵養する。さらに、この学習を通じて、単なる暗記ではなく法的思考能力を高める学習スタイルの定着が、法科大学院における学習の基本となることを明らかにし、その後の専門学習の基盤を確立することをめざす。
民事法入門 法学未修者を対象に、民事法学習の第一歩となる民法について、その全体像を、具体的な事例を素材として主に演習形式で学ぶことにより、民事法分野の専門学習への橋渡しを行う。原則として毎回、授業の初めに簡単な事例を提示し、これに関連する教員の質問に応答する形で、受講者全員で考えつつ理解を深めていく。
刑事法入門 受講生諸君は、これまでに刑法の講義を受講し既に刑法に一定の理解を獲得している者及び本法科大学院の構成メンバーとなり初めて刑法を受講する者と多様であろう。入門講義という形態の本講義は、刑事法を理解する第1歩として刑事判例を素材に刑事法的思考能力を涵養し、後期以降に開講される刑法Ⅰ及び2年次の刑法Ⅱの基礎を獲得するものである。本講義は、正確に事実を把握し妥当性な結論を得る判断力を養成することを目的とする。
公法Ⅰ 双方向型の講義方式により、憲法学における統治機構論について、行政法学におけるその基本原理の展開に留意しつつ、総合的に把握することを目指す。すなわち、「立憲主義」、「法の支配」、「国民主権」といった統治機構に関わる基本原理について、その多義性も踏まえた上で、民主主義と人権保障の実質にどのように関わるかを常に留意しながら、個別の解釈論における展開の仕方を学ぶ。特に、抽象的な理論や制度設計が、個別具体的な統治活動・行政活動において、どのように機能し、運用されているかを分析する能力を習得する。
公法Ⅱ 双方向型の講義方式により、基本的人権に関する基礎理念と具体的な解釈論の展開の仕方を学ぶ。すなわち、社会事象の正確な分析を加味しながら、抽象的な条文の解釈を形成・展開できる能力を習得すると共に、あらゆる法領域を扱う上で求められる法曹としての人権感覚を涵養する。とりわけ、憲法の人権規定の第一義的には対国家的性格を踏まえた上で、それぞれの人権の特質と法的性格を構造的に把握し、その保障と制限をめぐる憲法理論を判例の展開を踏まえて検討し、法律家に求められる多角的視点および法的論理力を育成する。
公法Ⅲ 公法Ⅲは、通常の行政法総論の中の、総則(法律関係、法治主義、信義則、裁量)、作用法(行政行為、行政の目的達成の手段、その他の行政作用、行政手続等)、行政救済法(行政事件訴訟法、国家賠償法、損失補償等)を対象とする。行政法は、国や地方公共団体の活動に対する行政に固有の法を勉強する。行政法を、総論と各論に分けることができるが、公法Ⅲでは、行政法総論を中心に勉学を重ねる。ここでは紛争処理の過程において権利を擁護し行政の活動を適法にするために必要な行政法理についての基本的な理解およびその意味を修得する。 行政法では、手続法・訴訟法など一部行政一般法は存在しているが、主として、具体的な紛争を解決するにあたっては、個別の法律や事実関係に即して議論を組み立てなければならない。争点・論点に即して議論を組み立てていく上で、行政法理を理解し、適切妥当柔軟に説明できるようになるべく、紛争事例にも目を向けながら、行政法理の全体を着実につかんでいく。
公法総合Ⅰ 行政法についての基本的な理解を修了すると、それを実践的に活用する能力が求められる。そこで、公法総合Ⅰでは、修得する上で適切妥当な事例を選び、何について論じられるのか、従来の議論では如何なる内容の法理となるか、それに対し求められる法理を如何に構成するか、自主的に議論を展開する能力を習得していく。実践的知見を身につける中で、もう一つ重要なことは、法律や事実関係を適切に理解していくことが求められる。そのために、様々な行政領域に固有の制度や法理の基礎を理解しておくことも大切といえる。
公法総合Ⅱ 「人権の実効的な救済」という観点から、違憲審査制を中心に、公権力による人権侵害に対する救済のための司法審査制度の基本構造、判例理論、その運用等について、具体的事案・事例に即した形で検討し、法曹実務に対応可能な論理的判断能力および応用能力を養う。この目的のために、憲法・行政法の知識にとどまらず、2年次までに習得した民刑事法、各訴訟法の知識を動員し、教員と院生相互、また院生間での双方向、多方向の議論を組織して具体的事案、事例を多角的に検討することにより、具体的な訴訟や不服審査の手続を想定した人権保障の実質を確保しうる法的論理構成の能力を涵養する。
民法Ⅰ
[総則及び契約法]
学期の前半部分においては、主として契約関係を念頭に置きつつ、民法典総則編に規定されている諸制度を理解する。後半部分では、これを受けて、契約法の基礎理論および基礎概念、各種契約の特徴を理解する。この授業では、まず、主として契約関係を念頭に置きつつ民法典総則編に規定されている諸制度を理解したうえで、契約法全体を体系的に習得することに学習指導の重点をおく。 テキストによる基本的概念、理論の解説を主とするが、参加者全員に対する質疑・応答を適宜行なって、各人の理解が深まるように努める。
民法Ⅱ
[不法行為法]
不法行為、事務管理、不当利得を扱う。講義形式を基本にして授業を進めるが、適宜質問形式もとりいれて受講生の理解をはかりたい。なかでも最も時間を割くのは不法行為で、不法行為の成立要件については、教科書だけでなく副教材の判例百選の検討を通じて理解を深めていく。不法行為にはいろいろな形態があるので、生命、名誉、財産権等の被侵害法益の面から、また、交通事故、学校事故、医療過誤、公害などの類型的考察も加えていきたい。不当利得については、不当利得の補完的機能という面に特に着目しつつ、今日における不当利得制度の果たす役割等について理解できるよう努めたい。
民法Ⅲ
[債権総論]
債権法総論の基本的な構成と内容を概観し、民法Ⅰ(民法総則及び契約法)の理解と相俟って、財産取引法の全体的構造の理解を深めることを目的にする。この授業では、基本となる概念・理論を十分に理解させることに学習指導の重点を置く。テキストによる基本的概念、理論の解説を主とするが、参加者全員に対する質疑・応答を適宜行なって、各人の理解が深まるように努める。
民法Ⅳ
[物権法]
民法中の物権法(担保物権を含まない)を内容とする。レジュメ、教科書を中心に授業を進めるが、副教材の判例百選を活用して受講生のより深い理解をはかりたい。物権の対象となる物、物権の種類・内容の概略説明から入り、物権法における基本原則および要件効果の違いを、不動産と物権の違いを常に意識しつつ説明していきたい。とくに物権変動と対抗要件、登記の持つ意義と限界については時間を多く割いて理解が深まるよう努めたい。占有については、所有権との違いを意識した説明を心がけたい。相隣関係、用益物権については今日的な問題に注目しつつ理解を深めたい。
民法Ⅴ
[担保物権法]
担保物権に関する諸原則・諸制度について理解する。各種担保物権の意義、制度趣旨、機能等を正確に把握し、諸規範、諸概念を、それらの相互関係を含めて正確に理解する。体系的・論理的な思考枠組みを形成するとともに、的確な法律構成を行う能力の基礎を身につける。
民法Ⅵ
[家族法]
親族法および相続法について講義する。親族関係を規律する諸制度、諸規範、人の死亡にともなう財産等の承継に関する諸制度、諸規範を理解し、その特質を把握するよう努める。できるかぎり設例を用いて問題点を具体的に検討したい。
商法Ⅰ 商法総則・商行為と、会社法のうち総論部分と株式および機関を講義形式で行う。条文の趣旨を理解するとともに、種々の制度を把握することで、条文を「正しく使える」ようにすること、また重要な論点については、なぜそうした論点が生まれるのかといったことから始まり、判例の立場とその理由づけ・対立する見解等を学習し、体系的な知識の習得をめざしたい。
商法Ⅱ 会社法のうち、機関と資金調達、計算、組織再編を扱う。講義形式をとるものの、受講生の人数しだいでは、質問を頻繁に行うことで、つねに考えることを学生に促すほか、受講生の理解度を把握し、柔軟な授業進行を行いたい。
民事訴訟法 前半では、司法における民事訴訟制度の目的や紛争解決手段における民事訴訟の意義と、単純な形態による一審における訴訟手続中、訴えの提起から訴訟の審理までを学習する。特に、請求(訴訟物)、主要事実、処分権主義、弁論主義が中心的なテーマとなる。後半では、訴訟の終了(判決,和解等)、なかでも判決の効力などを学び、より複雑な形態の訴訟となる請求の併合,多数当事者の訴訟へと進み、上訴(控訴,上告)やその他の手続について学習する。
民事法総合Ⅰ 1年次の民事法の習得を踏まえて、「契約」に関する事例研究を、事例問題、設例、判例等を材料に総合的に検討する。判例・学説において見解の分かれているテーマについて、利害の異なる立場から立論することにより、それぞれの見解がどのような立場に立ち、どのような価値判断に基づいて、どのように論理を展開しているのかについて理解する。また、実際の実務における問題の現れ方を学ぶことにより、理論と実務の架橋をめざす。あらかじめ材料を提供しておき、事前の調査、研究を踏まえた「討論」が全員によってなされるよう、配慮する。
民事法総合Ⅱ 商法について、事例研究を行う。設例をもとに、事前に準備してきてもらい、議論をすることによって、商法の総合的・体系的理解を深める。授業では、設例について検討するとともに、理論面と実務面の双方からアプローチをすることにより、理論と実務の架橋を目指す。
民事法総合Ⅲ

物権法、担保物権法、不法行為法、事務管理法、不当利得法、親族法、相続法にかかわる分野において、重要な論点を含む具体的事例を検討する。事案における利害状況の分析、理論的構成の可能性、利益考量、具体的な結論の妥当性、判例との整合性などについて総合的な検討を行う。受講者をグループにわけ、交代で、答案を提出してもらい、教員とともに論点の検討を行うなどの準備作業のうえで、講義において、質疑方式を中心に、妥当な法的構成を行う方向を導く。
具体的な事例については、最近の裁判例などを素材にしながら、重要な法的論点が争点になるように、事例を作成する。

民事法総合Ⅳ 民法、商法等の実体私法の基本的知識を基礎に、実体法から手続法及び執行段階までのプロセスを念頭に置き、財産法、契約法、不法行為法、家族法、会社法、商行為法等に複合的に関わる具体的な民事紛争事例をプロブレムメソッドないしはケースメソッドの手法を用いつつ、受講生間の討論による検討を通して、法曹に不可欠な立論能力に支えられた説得能力と紛争処理能力を養う。なお、具体的な進め方に関しては、設例の事実関係の詳細を確認した上で、受講生が請求者側、被請求者側、さらには裁判所の立場に分かれて検討すべき法律問題を指摘・分析し、考えられる解決方法について議論する。
刑法Ⅰ 法曹としての重要な資質の一つは、事実を正確に認識し、その事実に法的論理を当てはめることにある。とりわけ、刑事事案では過去に生起した事実を事後的に再構成し論点を的確に抽出する能力が問われる。この資質は、司法改革の一つである裁判員制度の導入と相俟って手続法の改正がなされ、「充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行う」との視点から争点及び証拠について公判前整理手続が新設されたことにより一層重要となった(刑事訴訟法316条の2以下)。
本講義は、正確に事実を把握し妥当性な結論を得る判断力を養成することを目的とする。具体的には、以下の3点である。
① 刑法における諸概念および概念の相互関係の正確な理解を修得する。そのためには、確立した理論内容をそのまま受容するのではなく、当該理論の歴史性や社会性をも視野に入れ、法原則の成立過程を辿り、現在の社会状況を分析し、法はいかにあるべきかを考察する視座を修得する。
② 抽象的概念による全体像構築と論理的演繹力・帰納力を修得する。個別の条文の文言から帰納的に犯罪構成要件を導き、各条文群全体としての犯罪類型の枠組みと当該個別条文による犯罪構造との整合性に留意し、条文の正確な位置づけとその把握を全体的視野からなし得る論理性を養成する。
③ テキストの精緻な読解・理解の後、テキストに依拠するだけではなく受講生各自の思考力を構築する。
刑法Ⅱ 1年次に修得した事実の明確な認識と法的論理のあてはめという法的思考力をさらに深化し、具体的な事実に基づくプロブレムを素材として、問題解決に必要な判例および実務における専門的な法律知識を修得することにより、法曹として不可欠な事実の変化に対するセンシティブさ、法的争点(論点)を把握する分析力および妥当な解決を導く多面的な判断力を高めることを目的とする。併せて、複数の基本概念の関係性を的確に捉え、さらにそれらを時間的な経過と関連させ法的に処理する総合的な分析・統合を行う能力を涵養することを目的とする。本講義は、個人の尊厳を基調とする憲法体系のもとで重要な個人的法益を検討した後、社会的法益及び国家的法益について検討する。
刑事訴訟法 前半は、刑事訴訟法における条文構造,諸概念および手続の流れの正確な理解を得させると共に,判例実務と学説との理論対立について,精緻な把握力と論理展開力の養成を目指す。特に,刑事手続においては,強制的(権利侵害的)な処分が用いられる場合があり,その場合に,処分を行う側の利益・論理と処分を受ける側の利益・論理との対立が問題になる。そこでの調和点を探るために,物事を一面的に見るのではなく,客観的・多角的な視点から分析・検討し,判断できる能力の養成を主眼とする。本講義では、刑事訴訟法分野のうち「捜査」と「起訴(公訴提起)」までの範囲を扱う。
後半は、刑事訴訟法における条文構造,諸概念および手続の流れの正確な理解を得させると共に,判例実務と学説との理論対立について,精緻な把握力と論理展開力の養成を目指す。特に,刑事手続においては,強制的(権利侵害的)な処分が用いられる場合があり,その場合に,処分を行う側の利益・論理と処分を受ける側の利益・論理との対立が問題になる。そこでの調和点を探るために,物事を一面的に見るのではなく,客観的・多角的な視点から分析・検討し,判断できる能力の養成を主眼とする。本講義では、刑事訴訟法分野のうち「公判手続」と「上訴」等の範囲を扱う。
刑事法総合Ⅰ 実体刑法を中心に刑法実務におけるより実践的で総合的な理解を目指す。判例を設例としプロブレムメソッドの授業方法とする。理論と実務の不可分なことから複数担当制とする。刑法の基本原則の理解に基づいた事象の評価と一貫性のある理論的展開がどのような事実認識を基礎として行われているかに重点をおいて考えさせる。また、事実群の中から実体刑法に照らして犯罪の成立要件が充足されるかについて、評価の多面性、事情変化に対応した予測を立てさせ、その中から妥当性を選択判断することを目指す。
刑事法総合Ⅱ 刑事訴訟法分野の基本判例及び具体的設例(プロブレム)の検討を通じて以下のような事例分析能力を養う。①諸々の事実の中から刑事手続上の重要問題を抽出する能力。②抽出された問題を刑事手続の原理・原則に基づいて分析・検討する能力。③上記分析・検討の結果を踏まえてその事例に法的な判断を加え妥当な結論を導き出す論理的思考能力とそれを適切に表現する論理的展開力。