「島根大学法科大学院の組織見直し」をめぐる一部報道について

2013年6月18日

「島根大学法科大学院の組織見直し」をめぐる一部報道について
    - 山陰法科大学院の新たなステージに向けて -

                                      島根大学大学院法務研究科長 朝田良作

  6月17日,山陰地域における法曹養成の新たな展望を切り開くため,「島根大学法科大学院の組織見直しについて」記者発表が行われました。しかし,残念ながら,この度の連合法科大学院設置のための組織見直しの積極的な内容が正確に伝えられず,平成27年度からの募集停止のことのみが強調される報道が一部見られますので,その内容についてあらためてお伝えします。
  平成16年に弁護士など法曹の数を増やそうと,全国各地に法科大学院が開設されましたが,都市部の法科大学院に志願者が集中し,地方の法科大学院は入学者の確保が非常に難しくなってきています。そのことは山陰法科大学院についても例外ではなく,他の法科大学院に比べても厳しい状況です。そのような中,司法試験の合格率の低迷や志願者の伸び悩みを理由に,平成25年度から,国立の法科大学院では唯一,国からの交付金を削減されることになりました。
  このような状況に至った原因は,山陰法科大学院そのものだけにあるのではありません。しかし,山陰法科大学院としても,志願者・入学者を増やす取組と司法試験の合格者を増やす取組をさらに強める必要があります。特に司法試験合格者を増やすことが重要です。
  そこで,他大学の法科大学院と一緒になり連合法科大学院を作り(これを連合化という。),この連合化により,双方の法科大学院が共通に抱えている課題と問題点または山陰法科大学院が独自に抱えている課題と問題点を,それぞれの教育実績とノウハウを基に克服し,志願者・入学者を確保するとともに,教育の質を飛躍的に向上させ,全国平均以上の司法試験合格者を出すほどの実践的教育力を高めることができる途があると考えました。
  また,そのことは,連合化において基幹校が他の大学になる場合でも,山陰の人々が島根大学で法曹養成教育を受ける機会と場を実質的に保障することができるならば,これまでの法曹養成教育の実績を引き継ぐことができ,また,地元の要請にも応えることができると考えました。
  さらに,連合化により,各法科大学院の特色ある教育が充実強化されることや各法科大学院相互間の連携共同によって修了者の職域開拓を推し進めることができるなど多くのことが期待されます。
  そして,この連合化により地方法科大学院のネットワーク化が進み,教育力が飛躍的に向上し司法試験合格者を増やすことができれば,地域適正配置原則を具現化するとともに,難航している法科大学院の組織見直しを促進するモデルになりうると考えました。
  そのようなことから,平成2741日をもって(この期限はあくまで目標ですが),私たちは他大学の法科大学院との連合法科大学院へ改組することを決めたのです。
  これに伴って,現行の山陰法科大学院の入試は平成26年度入試まで実施することとなり,平成27年度入試は新たにできた連合法科大学院の入試になるのです。換言すると,現行の山陰法科大学院の入試による学生の募集は平成26年度限りで停止し,平成27年度から連合大学院の入試により学生を募集することになるのです。なお,平成26年度入試で現行の山陰法科大学院へ入学した者を含め平成26年度以前の入学者については,全員が修了するまで現行の山陰法科大学院で継続して法曹養成教育を受けることができますが,学生の希望を聞き,転入学制度の活用により新設される連合大学院への転籍を認めることなど学生の意向に配慮するよう努めていきます。
  今の山陰法科大学院は他大学の法科大学院との広域連合法科大学院という組織に衣替えして,この山陰の地で法曹養成教育を行っていきますので,今後ともよろしくお願いします。