林先生近著

『相当な理由に基づく違法性の錯誤』

 研究者にとっては、自己の思考の軌跡を後世に伝達したいとの思いが常にあります。伝達方法には、口授・著作等様々なものが考えられます。論文集として一書に纏め上げるのも一つの方法です。その為には、多大の集中力と身を削るような自己研鑽があります。

 私には、研究方法・研究対象として理論研究、歴史研究、現代的課題への実証研究という複眼的アプローチが有ります。歴史研究としては、『改正刑法假案成立過程の研究』(成文堂、2003)が有り、現代的課題への実証研究としては、『児童虐待 その現況と刑事法的介入』(成文堂、2000)、『児童虐待Ⅱ 問題解決への刑事法的アプローチ・増補版』( 成文堂、2011)が有ります。この3著書は、未だにそれぞれの研究分野の先行研究として追随を許さないものと自負しております。
  今回刊行した理論研究としての『相当な理由に基づく違法性の錯誤』(成文堂、2012)は、多くの優れた先行研究の蓄積された分野であり、私の30有余年に亘るライフワークでもあります。

 一つ一つの論文集は、研究成果の到達点を提示し批判の対象とされる宿命にあると同時に筆者にとっての艱難辛苦の結晶でもあります。筆者としては、本書を通読され現在の問題状況と一つの解決策を読み取られ、更なる展開を読者に期待します。

(2012.10.25)